果実酒作りの基本知識

 果実酒なんて、果実と砂糖とホワイトリカーを入れれば出来上がり!簡単なんです。ある意味自由ですが、美味しい果実酒を作るにはちょっとしたポイントがあります。そこを押さえて作ってみてください。私が何百回失敗した経験から得たものをここで皆さんにお伝えし、果実酒作りを好きになって欲しいとおもいます。


果実酒素材

 果実酒素材は無限に存在しますが、基本的に天然素材で毒性が無いか低いもので、酒に漬け込んで美味しく仕上がるか、何らかのメリットが出るものに限られます。簡単に言えば、美味しい果実酒に仕上がる果実・種子・根・根茎・葉・茎・花・樹皮などを指します。また薬酒の場合、効能が期待できる植物・動物の全体や一部器官、菌類も含み、風味は二次的になります。場合によっては鉱物も含むことがあります。

 今はネット通販が発達しているので、世界中の素材が手に入ります。冷凍果実や乾燥ハーブなど様々な素材を試してみましょう。


甘味料について

*基本的には氷砂糖でよいでしょう。グラニュー糖や上白糖でも問題ありません。

*風味や効能をプラスする目的で蜂蜜や黒糖・メイプルシロップ・糖蜜などを使うこともあります。

*シュガーレス・ノンカロリーを目的に、天然や人工甘味料を使うことはあまりお勧めしません。果実酒で飲む糖分など知れていますし、そんなことを気にして作ること自体、ナンセンスですから。


果実酒作りの道具類

 特に変わった道具は必要ありません。漬け込みビン、素材を量るための量り、原酒を量るための計量カップ、濾過するためのロート(すいかん)、ろ紙代わりのペーパータオル、ラベルとペン、保存用細口ビン、などです。最近は便利な道具が出回っていますから、適宜利用してください。

果実酒での失敗のほとんどが、濾す時期を忘れてホッタラカシになってしまうことです。出来ればラベルに漬け込み月日と濾す予定日を書き込んでおきましょう。カレンダーに書いてもいいでしょう。


原酒について

*35度ホワイトリカーが一般的で価格的にもお得です。生の果実類は特別な風味を望む場合以外、ホワイトリカーが最適です。

*植物性乾燥素材の場合は25度甲類焼酎がいいでしょう。

*動物性素材は35度以上が望ましく、生の場合は40度以上欲しいところです。

*ブランデーやラム・ウォッカ・ジン・ウイスキー・乙類焼酎などの蒸留酒もお好みで。

*ワインや日本酒・紹興酒などの醸造酒の場合、アルコール度数が足りないので、35度ホワイトリカーや蒸留酒を混ぜて20度以上に調整して用いましょう。


抽出期間

 成分の抽出期間は素材によって大きく異なります。生素材のおおよその目安を上げておきます。

*花類:2,3日~1週間

*ベリー類:1~2週間

*葉物:半月~1ヶ月

*根・根茎:1~3ヶ月

*果実類:3か月前後

*硬い果実類:半年~1年

※薄くスライスすれば期間も短くなりますし、乾物ならさらに短縮できます。

※霊芝や木質の素材などは入れたままでも問題ありません。濁りが出るようなら濾しましょう。


漬け込みビン

 酸や有機溶媒に強いガラスビンがよいでしょう。重いのが難点ですが、洗って何度も使えますし、比較的安価に入手できます。大きさは漬け込み量に比例しますが、初めは少量で試してみましょう。ただし、梅酒のように1年熟成するものなどは、最低原酒1.8Lほどは漬けたいので、3Lビン以上が必要です。


素材と原酒の比率

*中型~大型の果実の場合、果実と原酒のg:ml比は1:2~2:3が標準です。900~1200gに1800mlです。

*小型の果実類は1:2~1:4程度で、素材により開きがあります。

*花や葉などの軽いものは、重さより漬け込み容量でみます。原酒でひたひたにする感じが標準。時間が経つと分離して原酒のスペースが現れます。

*乾燥生薬などは少なめに1:15~20、ものによっては1:30以上の場合もあります。


濾過・熟成と賞味期限

 抽出期間が終わったら濾して細口ビンなどに保存します。色付きビンの方が紫外線を遮断できるので変質しにくいでしょう。

 熟成と言っても基本的には酸化や変性によってクセが無くなる程度で、色や香りなどは劣化していきます。早めに飲むことをお勧めします。特に抽出期間の短いものは、賞味期限も短いと考えてよいでしょう。


おいしく飲む

 飲み方にルールはありません。お好みで季節に合わせて楽しんでください。基本はロック。水割りやソーダ割り、お湯割り。牛乳割りが美味しいものもあります。

 ブレンドも楽しく、酸味が無いものに梅酒やレモン酒を加えたり、クセのないリンゴ酒に花酒の芳香をプラスしたり、色々アレンジできます。新しい飲み方を見つけてください。