薬酒果実酒伝道師・オサム師(渡邉 修)
◎強精酒と言えば、まず頭に浮かぶのが蛇酒で、一般的なのはマムシ酒です。
「蛇の酒は効きますか?」と聞かれれば「効きます!」、ただし臭みがあり不味い。漬け方どうのと言いますが、どんな漬け方でも蛇酒独特の生臭みはついてきます。ただ確実に効きますから、我慢して飲みましょう。
*無毒の蛇でも効能はありますが、やはり毒蛇の方が強いイメージがあります。私の経験上でも毒蛇の方が効いた気がしましたが、プラシーボかも?。効能には個人差があるので、皆さんも自分で試してね。
けっこう民間で漬けられていますが、専ら打身などの外用にしていて、作っても飲まずに保管しっぱなしという方が多いようです。
赤マムシは普通のマムシよりも効果があるという伝説ですが、私の妻の経験では真実にも感じます。人それぞれですね。
飲みにくい風味ですが、慣れれば問題ありません。効果はハッキリしているので期待しましょう。
沖縄周辺の島に分布する毒蛇で、温度に反応して飛び掛かってくる凶暴な大型の蛇です。
変な効き方をした私の体験。3日ほど続けて飲んだら、性格がやたら攻撃的になった事がありました。若かったせいか、本性か?ハブの呪いか?!
風味的にはマムシよりスッキリした生臭みに感じます。まあ、お好みですが!
写真左は乾燥コブラを漬けたもの。乾燥品の方が生臭みが少なく、干物臭はありますが飲みやすい。内臓がついてない分、効果は弱いように感じました。
写真右はお土産品の三蛇酒。中国製ですが、飲んでいません。友人が、知人から頂いたものが、廻り回って私の手元に来たもの。
海狗腎酒
(ゴマフアザラシ♂の陰茎と睾丸)
カイクジンはゴマフアザラシの雄の生殖器。男性ホルモンを目的にした漢方薬で、単独よりも至宝三鞭丸の1要素として有名です。
他にも、強い動物や精力的な動物の♂生殖器は漢方で用いられます。
膃肭臍(オットセイ)、海豹(アザラシ)、狼、犬、虎、豹、鹿、トナカイ、熊、蛇類、等々。
いずれにしても飲みにくい?酒たちですね。中国では、強精のために馬や牛・豚などの生殖器を調理して食べることもあるようです。直接食べた方が効きそうかな?
蛤蚧酒
(内臓を除いたトッケイヤモリ)
ゴウカイはオオヤモリで、中国南部に分布し、交尾時間が長いことから強精薬として用いられてきました。写真は干物の生薬を漬けたものですが、中国の市販品は生の内臓を除いたものが漬けられています。雄と雌を対で用いるのが漢方流のよう。尾に成分が集中している?とかで、購入の際は尾がちゃんとしているものを選んでください。効果の程は、単独で飲んでいないので何とも言えません。私はほとんど15種類ほどの蛇酒や強精酒と強壮生薬酒をブレンドしてストックし、疲れた時はそれを飲んでいるので単品はあまり飲みません。味の問題もあるので。
海馬酒
(タツノオトシゴ)
タツノオトシゴが効くなんてちょっとビックリですよね。中国では海馬カイバといい、強精生薬です。硬い骨のような外見で、食べるところの無い魚ですが、性ホルモン様成分があるようです。同じ仲間のヨウジウオも同様に用いられ、こちらの方が効能が強いとも言われますが、真偽のほどは??最近私も弱って来たので、そろそろ単品を試してみますか。なお、けっこう高価で、1匹800円くらいしたような記憶がありますが、昔のことなので自信がありません。悪しからず。
スズメバチ酒
漢方では用いられませんが、やはり強い昆虫も期待させられますね。写真は、25年ほど前に、スズメバチを飼育しているマニアの方に分けてもらったものです。その時、病の人が分けてくれと毎年来ると言っていましたが、どんな病なのか詳しいことはご主人が不在で聞けませんでした。
疲労回復には効きそうですが、精力剤になるかは? かなりプラシーボ臭くもありますが、魅力的でもあります。私は網で1匹ずつ捕まえて漬けています。皆さんも試してみてはいかが。
尚、写真はありませんが、カマキリも効くようです。漢方ではソウヒョウショウといって卵塊を用いますが、成虫の黒焼きが効くという話を昔の本で読んだ記憶があります。カマキリの成虫も漬けましたが、どこかに紛失?して見つかりません。
媚薬とは、何とも時代がかったエロティックな響きがあります。とは言え、カンタリジンは第一級の毒物で、洋の東西を問わず昔から恋人たちの命を脅かしてきたシロモノ。経口利用は避けた方が身のためでしょう。まあ、局部への塗布くらいにしておきましょう。それでも粘膜に水泡が出来たりしますから要注意。スパニッシュフライの名前で有名ですが、日本ですとマメハンミョウ、ツチハンミョウなどが代表。私も両方漬けていますが、一度だけ使って懲りたので、今はお蔵入りしています。皆様にはおススメしません。参考までに。
鹿茸酒(鹿の幼角・袋角)
中国では、鹿という動物は特別な扱いで全身漢方薬に利用されます。特に袋角(硬くなる前の成長途中の角)は強壮強精薬として珍重され、日本でも5月の薬刈りとして伝え残されてきました。膠っぽい風味のクセがありちょっと飲みにくいか?効果はそれなりにあったと思います。高価な生薬で、角の成長具合と部位などで品質に大きな差があるので注意。スライスした中心部に血痕のあるものが良品とか。
イカリソウ酒(イカリソウ属全般)
エグイ動物ばかり紹介すると嫌がられるので、最後にかわいい花を咲かせる強壮薬草酒を紹介しましょう。イカリソウはメギ科の多年草で、生薬名:淫羊藿インヨウカクといい、古い名前は仙霊脾センレイヒ。山野草ファンだけでなく、生薬ファンにも有名です。名前の由来が、この草(藿)を食べた羊が盛んに交尾を繰り返したとか、様々な話があります。動物酒とブレンドすると、味や効能が相乗的にアップするかもしれません。単品の酒はやや飲みにくい風味。地上部を刈り取って用います。
獣骨酒(左:熊骨、右:鹿骨)
骨の酒として最も有名なのは虎骨酒です。中国では薬酒として製造販売されています。今は保護動物ということで手に入りにくくなっていますが、20世紀末までは日本でも輸入品が販売されていました。当時でも600mlビンで6000円ほどしたと思います。
効能は神経痛やリウマチ、筋骨の衰えや疼痛などのようで、虎骨以外にも漢方生薬が何種類か入っていました。結局、筋骨の衰えには骨の酒的な発想のようで、ならば虎でなくてもと文献を調べると、やはり他の動物の骨も使われていたようです。ということで、私は熊骨酒と鹿骨酒を漬けてみました。漢方生薬を入れないと効果は薄いかも?
冬虫夏草酒
こちらは強精酒というより呼吸器系に効果的な酒?でしょう。中国のチベット自治区辺りが産地で、標高4000mクラスの高地に産する、虫に寄生するキノコの一種です。シナフユムシナツクサタケといい、コウモリガの幼虫に寄生するタイプ。興味のある方は漬けて飲んでみてはいかが。ただし、1g1000円を超えるようですからGold並です。
冬虫夏草は、狭義と漢方では本種を指しますが、広義では虫や菌類などに寄生する子嚢菌類全般を指します。例えば、蝉の幼虫やカメムシなどに寄生するタイプは比較的目にしやすいもののようです。私も以前、山の下草刈りなどの仕事をした折、カメムシタケを50匹?本?ほど採取して漬け込みました。とりあえず毒は無いようですので。
カメムシに寄生し、枯れ葉の隙間で冬眠中に菌糸を増殖させ、6月中旬~7月中旬に芽を出して胞子嚢をつけるカメムシタケ。これを35度ホワイトリカーに漬け込みました。毒性は無いようですが、効能は不明。50匹?ほどを600mlで漬け、少量を飲んでみましたが、特に変化はなかった⁈感じでした。なお、カメムシ特有の臭気は全くありません。参考まで。
アントシアニン系色素の赤紫が美しくおいしい果実酒。
左からブルーベリー酒・カシス酒・小梅桑の実酒・アメリカンチェリー酒・桜の実酒。
美しい色も味の内、果実それぞれの風味は異なりますが、この5品は旨い。特に桜の実酒は絶品です。
絵画は全て星野博美さんの作品です。
薬酒果実酒伝道師・オサム師(渡邉 修)
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